賽の河原
この木も桜だったのかと思うほどに桜の木が目につく
どんなの名もない木も、この時期は桜を名乗るのだろうか
普段地面を見ながら歩いていても、この時期だけは
視界にピンクが侵入してくる
せっかくだから花見でもしようかと思っても
重い腰を上げるのに2週間はかかるので
桜は元の名も無き木に戻ってしまう
花見は来年に持ち越そう
予定を守れたは一度もないが、
1年もあればきっと花見もできるようになるだろう
何より桜は逃げない。
桜の開花と共に吹き出物(以下ふっきー)も開花してしまった。
暖かくなってきたのでおそらく勘違いしたのだろう
ふっきーが生まれたのは今朝。
唇と肌の境目に産み落とされ、比較的安産であった。
通例、ふっきーの寿命は宿主の健康管理の度合いと反比例して決まるといわれているが、このふっきーは長生きするだろう。だが次の元号は迎えられないだろう。1か月も育てる自信は毛頭ない。
かわいそうに、せめて桜でも見せてやろうとも思ったが、生まれたてほやほやの新生児を外出させるほど非常識ではないし、ふっきにーにとってもありがた迷惑な話であるはずだ。しかし、どんな姿であろうとこれは我が子。せめて母親らしいこともしようと、ふっきーに平成という名を与えた。そして軟膏を塗りたくった。
「またな。来年一緒に花見でもいこうゼ。」